警察官は担当している部署によって、階級が上がりやすかったりなかなか昇任できなかったりします。つまり「出世しやすいかしにくいかは配属された部署で決まる」といっても過言ではないわけです。
そして警察の中でも一番出世しやすいのは『警備部』とされています。
個人的な感覚としても警備部の人は出世しやすい感じがありますし、幹部クラスの人の中でも若い人はだいたい警備部の人だったりします。
今回は「なぜ警備部の警察官は出世しやすいのか?」について解説いたします。
警備部の警察官が出世しやすい理由
警備部の警察官が出世しやすい理由は主に3つあります。
- 時間がある(待機時間など)ため昇任試験の勉強ができる
- 関東管区の場合は成田空港(空警)に派遣されることがあり、昇任試験の一次試験免除など特典がある
- 国の重要人物の護衛任務などがあるため、重要な仕事を達成した報酬のような意味で昇進させてもらえる
それぞれについて簡単にご説明すると、
時間がある(待機時間など)ため昇任試験の勉強ができる
警備部といえば機動隊が有名ですが、機動隊は欠伸が出るほど“暇”です。
何十年も前の学生運動が真盛りの時代は大変だったそうですが、現在ではそういった荒れた現場に派遣されることはありません。せいぜい大使館や米軍基地、国会議員の自宅前などで立哨(りっしょう=立ってるだけ)したり右翼の街宣車を取り締まったりするくらいです。
爆発物の処理や山岳遭難者の救助、スクーバ(水中捜索・救助)なども行っていますが出番はほとんどありません。
機動隊が暇ということはそれだけ世の中が平和で治安が維持されているということで、それはそれで良いことなのですが、出番がないため機動隊員は暇を持て余すことになります。
そんな暇な時間に機動隊員たちは何をするかというと、昇任試験の勉強をして過ごします。
昇任すると異動があり機動隊を出て所轄や本部に行くこともできるので、機動隊が嫌いな人や仕事熱心な人ほど早く機動隊を出るために一生懸命に勉強します。
そして1〜2年で昇任試験に合格し階級を上げて所轄などに行きますが、機動隊経験者ということで数年後には再び機動隊に呼び戻され今度は分隊長として部下を指揮する立場になります。
ですが分隊長になっても機動隊は暇なので昇任試験の勉強くらいしかやることがなく、結局また階級を上げて昇任異動することになります。
これが交番勤務やパトカー勤務員(地域課)、あるいは刑事だったりすると、こうは行きません。日々の仕事に忙殺され、昇任試験どころではないからです。よほど効率の良い勉強をしているか、もしくは昇任意欲が強くて高いモチベーションを維持しなければ試験には合格できません。
このような事情があるため、結果的に警備部の人や機動隊経験者ほど昇任しやすくなります。
関東管区の場合は成田空港(空警)に派遣されることがあり、昇任試験の一次試験免除など特典がある
関東管区の警察本部では毎年機動隊員の中から数人を選抜し、成田空港警察(空警)に警察官を派遣しています。
派遣期間は通常は2年間となっており、その間は単身赴任のような生活をすることになります。各警察本部からの要請により、成田空港のある千葉県まで行くわけです。
これはかなりの負担を強いることになるため、空警に派遣された人には「昇任試験の一次試験(マークシート)が免除される」という”特典”が付きます。
この特典のおかげで昇任できる人の数はそれほど多くありませんが、他の部署に比べて昇任しやすい(出世しやすい)のは間違いありません。
国の重要人物の護衛任務などがあるため、重要な仕事を達成した報酬のような意味で昇進させてもらえる
警備部の仕事の中には、
- 各国首脳や政治的リーダーなどが集まる国際会議の警備
- 警衛(天皇や関係者の警備)
- 米軍基地、大使館など重要施設の警備
といった国家の運営に関わる重要な任務があります。
また、国家の転覆を図る過激派の監視や捜査を行ったり、テロを未然に防ぐなどの任務もあります。
こういった特殊な職務内容により、警備部の警察官は報奨の意味で出世しやすくなっているようです。
もちろんこれは何事もなく任務を全うできた場合の話で、失敗した場合は事実上の”クビ”にされることもあります。
ですが失敗することは滅多にないので、幹部クラスの警察官を見渡すと警備部の人が多くなりがちです。
出世したければ警備部へ
以上の事情があるため、結果的に『警備部ほど昇任しやすい』『警備部はエリート街道』と言われることになります。
警備部の仕事は機動隊みたいに退屈でつまらない仕事もありますが、スパイのような活動ができる「公安」や重要人物を身近で警護する「SP」などもあります。
警察の中でも仕事の幅が広い部署になりますので、退屈な人生を送りたくない方は目指してみてください。出世しやすいので給料も上がりやすいですよ!