警察官はけん銃の所持が認められており、警察官全員が訓練を射撃訓練を行っています。

射撃訓練の順序

射撃訓練の順序としては、警察学校に入校後、1カ月くらいしてから座学で法律や射撃の基本的なルールを勉強。その後、けん銃をホルスターから出したり仕舞ったりする練習やけん銃操法を学び、けん銃に弾丸を入れない状態で引き金を引く練習(空撃ち:からうち)をします。

最後に、射撃場へ行き実弾(訓練用の弾丸)を使った射撃訓練を行うという順序です。

 

けん銃の撃ち方としては、片手で撃ったり両手で撃ったり、ホルスターからけん銃を取り出しながら早撃ちしたり…と色々あります。ある程度練習したら警察学校を卒業する前に「けん銃検定」が行われ、合格すると初級の資格が得られます。

けん銃検定初級・中級・上級がありますが、公式資格ではないので警察内部でしか役に立ちません。しかし警察学校を卒業するためには初級資格が必須ですので、最低限は的に当たるように練習しておきます。

 

けん銃の訓練は警察学校を卒業してからも定期的に実施されており、所轄や本部に配属されたあとも年に1回は必ず射撃場に行って実弾を撃つことになります。

それ以外にも各警察署などで実弾を使わない訓練を行ったり、スクリーンにプロジェクターで映像を映し出し、特別な弾を使ってレーザー光が発射される訓練を行ったりしています。

警察官は射撃が下手でも問題なし

これだけけん銃に関する訓練を行っていますが、実は警察官は射撃が下手くそでもそれほど問題ありません。

なぜなら警察官がけん銃を使う場合、たいていの場合は射撃対象まで5メートルから10メートルの近距離でしか撃つことが無いからです。

 

射撃訓練では通常、的まで15~20メートルの距離で射撃します。

しかし過去に警察官がけん銃を使用した事例を調査すると、射撃訓練でやっているような距離とは違ってもっと近い距離で発砲しており、射撃が下手でもそれほど問題ないことが分かっています。

そのため訓練では最低限の射撃能力が求められますが、実務的には射撃が下手でも問題ないというわけです。

 

日本では海外の警察官みたいに町中で銃撃戦を繰り広げるようなことは想定しておらず、また、今のところそういった事件も起こっていません。ヤクザや薬物中毒者が日本刀や包丁を振り回したりする事例の方が圧倒的に多いです。

銃器犯罪や立てこもり事件の場合には離れた場所から射撃する能力が求められますが、刀や包丁、ナイフなどの凶器を相手にする場合には精密射撃の能力は全く役に立ちません。

日本の犯罪事情を考えると、警察官は射撃が下手でもそれほど問題はなく、むしろ

  • ホルスターから早く抜き出してその場ですぐに撃つ能力
  • どんなときに撃つべきで、どんなときに撃ってはいけないのか?という判断能力

の方が求められます。

巡査部長や警部補への昇任試験でもけん銃の上手い・下手が影響することはなく、けん銃の使用判断に関する法律的な知識の方が要求されます。そいった意味でも警察官にとってけん銃が上手に撃てることはあまり意味が無く、ヘタクソでも全然問題ないです。

けん銃特練なら実務を休めることがある

警察官にとってけん銃が上手なことに意味があるとすれば、”けん銃特別訓練員”になった場合です。

警察署対抗のけん銃大会を毎年どこの都道府県警察本部でも実施しているのですが、けん銃が上手だと大会に参加するために特別訓練員(特練員)に選ばれることがあります。

特練員になれば通常の業務の代わりにけん銃訓練をすることになるため、今の部署での仕事がキツ過ぎてヒィヒィ言っている警察官にとってはありがたいです。

SAT希望者は練習しておいた方が有利

あとは自分が所属している警察本部にSAT(Special Assault Team, 特殊急襲部隊)がある場合、SATの入隊試験には射撃があります。射撃が上手だと加点されるそうなので、SATに入りたい方はけん銃訓練を真面目に受けた方が良いでしょう。

SATは基本的には体力の有無で選考されますが、私の知っている人は「射撃が上手で入隊できた」そうです。

「体力には自信がないけどSATに興味がある」という場合は、けん銃が上手なほど有利になります。

まとめ

けん銃は下手よりも上手な方がカッコイイですが、警察官にとってはけん銃の腕前を披露する機会はほとんどありません。それに、けん銃の腕前を披露するような事件は発生しない方が治安にとっては良いことです。

警察官は射撃が下手でも全然問題ない理由がお分かりいただけたでしょうか?