刑事ドラマや推理アニメでよく見かけるワンシーンのうち、『本物の刑事や本物の警察官が絶対にやらないこと』をご紹介します。
当記事を読むことで、テレビで流れるワンシーンが実際の警察官のことを知らない人たちが作った”妄想”だとわかります。
手袋を口を使って脱ぐ
警察官は事件現場に自分の指紋が残らないようにするために、現場に立ち入る際には必ず白い手袋(白手)を付けます。
この白手は儀礼用で着ける白い手袋(ポリエステル製)とは違って綿で作られたものなのですが、刑事ドラマではよく、現場から出てきた刑事が手袋の指先を噛んで、口を使って手袋を脱ぐシーンがあります。
これ、実際の警察官は絶対にやりません。
手袋を口で外さない理由としては、
- 手袋が汚い
- 手袋に唾液が付着してしまう
からです。
想像以上に汚い手袋
事件現場は綺麗な現場よりも、汚くて荒れた現場が多いです。
誰が触ったのかわからない室内のゴミゴミとしたものを手袋で触り、汚くなった手袋を口元へ運びたいと思いますか?
思うわけないですよね。
場合によっては死体を触ることや感染症に罹った人の体を手袋で触ることもあるのですが、汚い手袋を口で噛んだりしたら病原菌に感染してしまいます。
手袋は『現場に指紋を残さない』という役割と共に、汚れから警察官たちの体を守る役割も担っているんです。
汚れた手袋を口でくわえたり歯で噛んだりなんて、絶対にできません。
手袋に唾液が付着する
仮に新品の手袋を嵌めてすぐに外す場合でも、口で外したりはしません。
自分の唾液が手袋に付着してしまうからです。
最近の捜査現場ではDNA鑑定も使われるようになってきており、証拠品や事件現場に安易に自分の唾液を付着させてしまうと、DNAが破壊されてしまったり汚染されてしまったりします。
これでは事件現場でDNAが採取できたとしても証拠品として使えません。
手袋を介して自分の唾液を間接的に証拠品に付着させてしまうので、事件現場を荒らさないためにも手袋は手で着脱します。
容疑者を一ヶ所に集めて事情聴取をする
刑事ドラマでよく見かけるけど実際の現場では絶対にやらないこと(やってはいけないこと)は、事件の関係者を一ヶ所に集めて取り調べたり事情聴取したりすることです。
関係を一ヶ所に集めて同時に事情聴取すると、他の人の言動が気になって真実を言い出せなくなってしまったり、容疑者たちに都合の良いように口裏を合わせたりすることができます。
名探偵コナンを見ているとよく見かけるのですが、容疑者を3人くらい集めて同時に事情聴取すると、必ず容疑者同士で喧嘩や言い争いが起こります。
これと同じことが実際の現場でも起こるので、関係者同士は必ず離ればなれにして、1人ずつ話を聴きます。
これは事件の大小に関係なく、交通事故の事情聴取をするときでも同じです。
1人ずつ別々に話を聴くことによって関係者が話をしやすい環境を作るとともに、関係者同士の行動に矛盾がないかを調べることもできます。
番外編
ついでにもう1つ、刑事ドラマでよく見かけるけど実際には起こりえないシーンについて解説します。
殺人事件の現場から救急車がサイレンを鳴らしながら立ち去る
これまた名探偵コナンでよく見かけるシーンなのですが、殺人事件の現場から救急車がサイレンを鳴らしながら立ち去ることはありえません。
おそらくアニメやドラマの脚本家的には、
- 事件が発生する
- 死体を発見して、とりあえず救急と警察に通報する
- 救急隊と警察が到着する
- 救急隊が手を尽くすも、心肺停止が確認される
- 救急隊がサイレンを鳴らしながら立ち去る、もしくは、救急車に遺体を載せて病院や警察署まで搬送する
というイメージなのでしょう。
しかし実際には、救急車がサイレンを鳴らしながら事件現場を後にすることはほとんどないです。
なぜなら、救急車は死体を運べないですし、けが人を乗せていない時にサイレンを鳴らしながら緊急走行することはないからです。
救急隊は要救護者の容態を確認し、応急手当てをするとともに受け入れ先の病院を探して搬送するのが任務です。
つまり、生きている人や蘇生する可能性の高い人しか運びません。
そのため、すでに死んでいる人や明らかに事件性のある遺体を搬送することはないんですね。
遺体を運ぶのは基本的には事業登録を受けた『霊柩車』です。
救急車も警察車両も遺体搬送の登録はしていないので、業務として遺体を運ぶことはできません(業務でなければ一般車両でも遺体を運ぶことができます)。
もしも殺人事件の現場から救急車がサイレンを鳴らしながら立ち去ることがあるのだとすれば、それは事件の被害者を運ぶためではなく、事件現場を見てショックで倒れた人を手当てする場合や、事件の被害者がまだ生きている場合に限ります。
まとめ
今回は刑事ドラマや推理アニメでよく見かけるワンシーンのうち、『本物の刑事や本物の警察官が絶対にやらないこと』および番外編をご紹介しました。
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