先日、警察のサイバー人材の募集に関して下記のような記事が出ました。
上記記事の内容を大まかに書くと、
- サイバー犯罪の多発に伴い、警察ではサイバー人材の募集を強化している
- サイバー枠での募集とはいえ警察官なので、一般の警察官と同じだけの体力、法的知識、交番などでの実務能力も求められる
- しかしサイバー人材の多くは体育会気質の警察の風習には馴染まず、募集が難航している
- また、たとえサイバー犯罪に対抗できる専門知識を持つ者が採用できたとしても、交番勤務を経て専門部署に配属されるまでに数年かかる
- これではせっかく専門的な能力を持っていても宝の持ち腐れである
といったものです。
能力に関係なく一律に行われる教育・訓練は無駄
現状ではサイバーセキュリティ人材や武道特練員など、特別な専門知識や特殊技能を持つ人材も一般の警察官と同じルートを辿ります。
- 採用試験に合格して警察学校に入校(大卒6カ月、高卒10カ月)
- 警察学校を卒業後、所轄の警察署に配属され交番勤務をする(都道府県によって異なるが最低でも半年くらい)
- 個人の希望や能力に応じて専門部署の教育訓練を受ける
- 専門部署に配属
といった流れが一般的です。
警察学校では
- 刑法や行政法といった座学
- 鑑識活動や被害届を作成するなどの実務練習
- 武道訓練などの体育
- 点検教練などの部隊訓練
などを行いますが、専門的な知識を持つ者が特別枠で採用された場合はそのほとんどが無意味なものとなります。
そもそも一般の警察官でさえ所轄の警察署に配属される時点で「警察学校で学んだことはほとんどが無駄」になるわけですから、特別採用枠の警察官がこれらのことを学ぶ必要性は皆無です。
それにけん銃を持つこともないし交番勤務をすることもないわけですから、1分1秒でも早く現場に配置して即戦力として実務に就かせる必要があります。
こういった事情を一切考慮しない結果、せっかく専門技能を持つ優秀な人材が採用されたとしても現場で活躍する機会もなく辞めてしまうという悲劇が繰り返されます。これでは採用に費やしてきた苦労が水の泡です。
採用までに使ってきた経費は全て国民・都道府県民から集めてきた税金です。つまり特別枠で採用した人たちの能力を活用できず、活躍する機会を与えないまま失ってしまうのは税金の無駄遣いと言わざるを得ません。私はひとりの納税者の立場として看過できない事態だと思っています。
能力に応じた役割分担、時代に合わせた配置が求められる
平成も終わろうとしていますが、警察はいまだに昭和の世界を生きています。つまり捜査手法も昭和のままということです。
江戸時代であれば30年前の捜査手法でも問題なかったかもしれませんが、現代は人々の生活や文化の変化、価値観の変化が速い時代です。30年も経てば昔の捜査手法は時代遅れになります。
警察は一刻も早く時代に合わせた捜査手法の変更や組織改編を行い、治安維持能力を高める必要があるのではないでしょうか?現状では犯罪者のやりたい放題であり、特にIT関連、サイバーセキュリティの分野に関しては警察は能力不足に感じます。
サイバー関連の犯罪捜査に対応できる人材はいるのに活用できておらず、その点が非常にもったいないし税金の無駄遣いに感じて仕方がありません。