愛知県警・銃器対策部隊の訓練画像が手に入りましたので、銃器対策部隊の装備や任務、なり方について解説したいと思います。
車両は防弾使用の特型警備車
まずは銃器対策部隊が使用している車両から。
下の画像の左の方にある青色の車両が、銃対策部隊の使用する「特型警備車」です。市販の普通の車両とは比べ物にならないくらい装甲が厚く、銃弾やライフルの球を跳ね返します。

車両内部への出入口は左右側面と後方にあり、取り外し式の特別なドアノブを装着しないと外部からはドアが開閉できないようになっています。テロリストや泥棒に盗まれたら大変ですからね。
運転員も左右のドアから乗車し、ハンドルの下の方にある”隠しスイッチ”を入れた後、一般車のように鍵を回してエンジンをかける仕組みになっています。隠しスイッチも盗難防止の仕組みです。
フロントガラスは防弾仕様になっていませんが、運転席からスイッチを入れることで銃弾が通らない程度の隙間が数か所に空けられた遮蔽板で覆うことができます。運転時の視界が悪くなりますが、外部からの攻撃に対抗できる仕組みが備わっているわけです。
他の画像を見るとなんとなく見えますが、特型警備車の左右側面と後方には銃眼(じゅうがん)と呼ばれる穴が空けられています。車両内に籠城したまま外にいるテロリストなどを銃撃するためです。
天井部分にもハッチドアがあり、車両内から銃撃することが可能です。
特型警備車の外装で特徴的なのが、「掴む場所がない」という点です。
停車中に近づいてきたテロリストがいた場合でも、これなら取りつかれずに済みます。
道交法の関係でミラーは付いているものの、他にはほとんど突起がないです。
機関銃はMP5
銃器対策部隊では一般の警察官が持つけん銃の他に、ドイツ製のMP5という機関銃が配備されています。
MP5はドイツのヘッケラー&コッホ(H&K)社が設計した短機関銃で、ローラー遅延式ブローバック機構により連射できる銃です。
機関銃にはいろいろな作動方式があるのですが、ブローバック式は命中精度が高いそうです。
銃器対策部隊はこのほかに、
- ライフル弾でも貫通しない金属製の盾(重さ30キロ、銃眼付き)
- 重さ5キロ程度のチタン製の盾
- ヘルメット
- タクティカルベスト
- 防弾ベスト
などを装備しています。
銃器対策部隊の任務
銃器対策部隊の主な任務は、人質立てこもり事件が発生した際の犯人制圧、刃物・銃器を使う事件が発生した際の犯人制圧です。実際には日本の警察にはSAT、SIS、SITなどの特殊部隊があるため、人質立てこもり事件で活躍することはほとんどありません。
ただしSAT、SIS、SITが現場に到着したあと、現場固定(事件現場が拡大しないように周囲を封鎖する)をする際には銃器対策の装備や専門要員が必要なため銃器対策部隊が現場固定を担当したりします。
また、原子力発電所などの重要防護施設の警戒に派遣されることもあり、青森県六ケ所村には東日本の銃器対策部隊の車両を見ることができます。
原子力発電所の警戒が任務にあることから、銃器対策部隊員には放射能汚染の最低限の知識を教育したり、タイベックスーツの着脱訓練、タイベックスーツを着用した状態での射撃訓練なども施されます。
銃器対策部隊員になるためには?
銃器対策部隊員になるためには、銃器対策部隊がある警察本部の試験を受け、警察官になる必要があります。警察官になったあとは所轄警察署で交番勤務や一般的な仕事を行い、能力や本人の意思、適正などから機動隊に配属されます。
機動隊に入ったあとは、一般的な警備任務を行いながらも同時に本人の適正から隊員を選抜します。
機動隊には
- レンジャー(山岳救助部隊)
- スクーバ(水難救助)
- NBC(化学防護)
- 銃器対策部隊
などの各部隊があるので、すぐに銃器対策部隊員になれるわけではありません。
機動隊に入ると新隊員訓練もありますが、これに合格してなおかつ銃器対策部隊員としてふさわしい”タフさ”を見せ付ける必要があります。
体力は当然のこととして、銃器対策部隊は重い盾を持って走ったり重たい鉄製ヘルメットを被ったりしなければなりませんので、体の細い人は機動隊に入れても銃器対策部隊には入れない可能性が高いです。
柔道やレスリング、相撲など体が太くて頑丈になるスポーツをしながら鍛えておくと良いでしょう。