気のせいかもしれませんが、最近、警察官が被疑者となる事件が多いように感じます。不祥事ってやつですね。特に性犯罪とか殺人のような凶悪犯が多く目につきます。

警官が事件を起こすと、現場では何が始まるか?

埼玉県警の現役警察官による殺人事件は極端な例ですが、警官が不祥事を起こした際、各警察署や警察本部では何が始まるか知っていますか?

公務中の交通事故にしてもプライベートな時間におけるトラブルにしても、警察官による不祥事が発覚すると現場では綱紀粛正という大義名分のもとに多量の”書類””届け出”が誕生することになります。

 

これは何かというと、

「仕事が終わってからお酒を飲む際は予め上司に届け出をする」

「旅行に行く際は予め上司に報告する」

といった類のもので、飲酒や旅行先で警官がトラブルの当事者となった時に上司が何も知らないようなことがないようにし、早急にトラブルに対応できるようにするための施策です。

目的としてはメディア対策をするためのものだったり、届け出を受けた際に上司側が部下に対して注意を促すものだったり、飲酒や旅行を取りやめるように促したりするために存在しています。

もちろん、これは建前であって、真の狙いは別にあるんですけどね。

 

上司側(警察幹部)の立場になって考えればわかりますが、部下が飲酒の届け出などを持ってきた際に「上司である私は部下に対して適切な指導をした」という証拠を作りたいんです。

部下の不祥事は上司の不祥事でもあるわけで、自分に降りかかる火の粉を少しでも減らしたいという魂胆です。

 

飲酒や旅行の際に上司への届け出が義務付けられているのに部下が届け出せずに不祥事を起こした場合、上司側は「部下からの届け出がなかったから上司である私は感知できなかった。部下の失態は知ったことではない」と言い逃れすることが可能になります。幹部にとって”書類”や”各種届出”は最高の自己保身ツールなわけです。

 

ところで、これらの届け出の存在で得をする人は誰でしょうか?

警察官の大部分を占める届け出”する側”だろうか?それとも届け出を”受ける側”だろうか?

いわゆる下っ端の人たちは、このような環境にいるのだ。

上手くいかないと、もっと上手くいかないことをやろうとする矛盾

警察組織の徹底的な部下の身上把握、プライベートな部分にまで踏み入った口出しについては平成の初期に警察不祥事が相次いで明るみに出た頃から行われているそうです。

もしかしたら、もっと以前から行われていたかもしれませんが。

 

届け出による効果が大きければ継続する意味もあるのでしょうが、実際のところはどうなのでしょうか?

届け出する側の人間からすれば、これほど上司から信頼されていないと感じることもないだろうし、自分の不祥事の責任を上司が代わりに被ってくれるわけでもなく、むしろトカゲの尻尾切りで”切り捨てられる”のがオチだと思うでしょう。

 

そして表面上は問題なく行動していても、誠実に職務を執行しようという気持ちは無くなっていくのではないでしょうか?

つまり、現在の届け出制度は上手く機能してないどころか、むしろ大部分を占めている『届け出する側』である署員達の不満やストレスを大きくすることになります。

 

そして、そういったストレスが溜まるとどうなるか?

酒を飲んだり、ギャンブルに走ったり、開放感に浸りたくなったりするでしょう。

ストレスが溜まった人たちが何をするかは目に見えています。

 

どう考えても、現在の不祥事発生→各種書類・届け出制度の新設という流れは負のサイクルにあります。

しかし、組織も人も(特に公務所は)何か問題が起こるとそれを防ぐために、もしくは対策を取っていると見せかけるために、書類を作りたがります。

 

自己啓発系の本にも書いてありますが、人間は

今まで上手くいかなかったから新しく何かをはじめる→上手くいかないからもっと多くやる

という間違いを犯しがちです。

警察幹部は現在の内部ルール(各種届出制度)を見直し、もっと効率よく、もっとやりがいと自信を持って部下が働ける環境作りをする必要があるのですが、本人たちが自力で気付くことはできないんだろうなあ…。

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