警察官が使用する無線機には、市販されているトランシーバーやアマチュア無線には備わっていない特殊な機能が付いています。今回は警察無線に備わっている特殊機能をご紹介します。

紛失・盗難時には遠隔操作で機能を停止させることができる(情報漏洩防止)

警察官は職務上、一般人が知ることのできないような個人情報や特殊な情報にアクセスすることができます。これらの情報は職務上知りえた秘密に該当するため守秘義務で公にすることができません。しかし捜査などで職務上必要な場合には、同じ警察官同士で秘密の共有が行われます。

当然警察無線でも個人情報や秘密の情報が交信されており、警察マニアだけではなく犯罪者や警察に敵対する勢力にとって、警察無線の内容はとても気になることでしょう。

警察無線には無線機が盗まれた場合や紛失してしまった際にも、警察内部で交信されている情報を漏らさないようにするために、無線機を無効化する機能が備わっています。

各無線機や受令機には個別の番号が割り振られているため、紛失や盗難が判明した場合は即座に警察本部や各警察署の指令室から該当する無線機・受令機に無効化する信号を送り、その無線機や受令機の機能を停止させます。無効化することで警察内部でやり取りされている内容が漏洩するのを防いでいるんですね。

緊急発報ボタン(エマージェンシー)

所轄系無線機には緊急発報用のボタンが付いており、長押しすると本部、署轄の指令室(通称:リモコン)、及び発報した無線機と同じチャンネルを使用している他の無線機に自動的に周囲の音を拾って送信してくれます。

これにより警察官が職務中に大ケガをしたり緊急事態に巻き込まれたときでも、いちいちマイクの送信ボタンを押しながら話さなくても他の警察官に状況を説明したり応援を求めたりすることができるようになっています。

デジタル暗号化(APR)

むかしの警察無線はデジタル化されておらず、エアバンドなどの受信機を使えば誰でも内容を聞くことができました。そのため警察マニアや新聞記者などが警察無線を聞いて事件現場に急行し、警察官よりも早く現場に到着することもあったとか。

現在ではAPR(Advanced Police Radio)と呼ばれるデジタル暗号化処理が施されている無線機を使用しているため、エアバンドなど市販の受信機を使っても警察無線を聞くことはできません。

バッテリー、乾電池どちらでも起動

これは警察無線の特殊機能ではありませんが、警察で使う無線機は専用のバッテリーパック(充電池)だけではなく乾電池でも動かすことができます

交番やパトカーなど地域警察官は充電式のバッテリーパックを使って仕事をしていますが、警衛・要人警護の任務がある警備部ではバッテリーではなく乾電池で電力を確保する場合が多いです。専用バッテリーだとバッテリー切れを起した際にどうすることもできませんが、乾電池なら電池交換すればまた使うことができます。

「乾電池ではなく交換用の専用バッテリーを持ち歩けば良いのでは?」と思うのですが、なぜか警備部は頑なに乾電池を使うんですよね・・・。警備部は予算が都道府県ではなく国から出ることもあるので、それが関係しているのかも。

 

以上のように警察の無線機には特殊な機能がいくつか備わっています。一般人では手に入らない装備なので興味がわきますね。

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