大阪の寝屋川で中学生2人が殺害された頃から、少年補導の取り締まりが活発になっていると思われるのでこの記事を書きました。
少年補導といっても都道府県警によって対応の仕方が多少異なるでしょうから、私の知っている少年補導の手続きについて書いていきます。
少年補導の目的
まず最初に基礎知識として少年補導の”目的”から書いておきます。
少年補導は、少年が犯罪被害者になるのを防ぐことを最大の目的としています。
(建前上は)たばこを吸っているクソガキや深夜徘徊しているクソガキどもを懲らしめることが目的ではないし、警察が点数を稼ぐためにやっているわけでもないんですね。
また、補導を端緒(たんちょ=キッカケ)として少年の保護者や学校などと連携し、少年本人や家庭問題の改善にあたることも目的の一つになっています。
少年補導の対象者
補導の対象者は基本的に「20歳未満の者」とされていますが、有職・無職、学校に通っている・通っていないなどによって対象から外れることもあります。詳しくは少年法などの法律を読んでください。
少年補導の種類
補導には、未成年者の喫煙・飲酒・深夜徘徊(23時〜4時?)・迷惑行為(夜間に大声で騒ぐ等)・怠学(学生・生徒が平日昼間から学校をサボってる)などなど…10種類以上あります。
そのうち、警察が主に取り締まっているのは深夜徘徊と喫煙です。
物証もあるし取り締まり基準が明確なので、どんなバカな警察官でも取り締まりができますからね。
少年補導の手続き
警察はワルそうな少年を発見すると、住所・氏名・生年月日・学校/勤務先・ 保護者名・保護者の勤務先・連絡先などを聞き、少年補導の対象であれば本人に「ダメだよ〜」みたいな注意をしたり指導をしたりするのが一般的です。
ついでに所持品検査もする。
その後、ドラマみたいにパトカーや捜査車両で警察署まで連行して保護者に電話連絡し、迎えに来てもらう。
保護者が少年を迎えに来たら小言を言ってから身柄請書に署名して貰い、一緒に帰ってもらえば一件落着…というのが基本的な流れになります。
ただ、実際はこのような流れにはなりません。
なぜなら、パトカーや捜査車両の台数は限られているし、街に蔓延るクソガキの数があまりにも多いからです。
そのため実務的には、
- クソガキを発見→氏名などを確認してその場で解散
という流れで終了するのが現場の日常です。
わざわざ警察署まで連行しないし、保護者を呼んだりもしません。現場で解散です。
こういった補導の場面では少年はウソを付くことも多いので、身分証を確認するなどして確実に本人確認するのがミソになります。
また、所持品検査することでタバコや凶器、犯罪の証拠品などが見つかることもあるので要チェックポイントです。
他にも、本人に「お前は今日喫煙で補導だから」というように、何の内容で補導したのかをしっかりと告げることも必要になります。
そうしないと少年側が補導されたことに気付かず、悪びれることもないので同じことが何度も起こってしまうからです。
また、保護者に連絡しなかったことで
- 自分の子どもが補導されていることを知らなかった
- 家庭で指導できなかった
などとクレームを入れる保護者もいるので、保護者への電話連絡も必須。
以上のように、少年補導は結構めんどくさいです。
補導票の使い道
少年補導をすると、少年一人につき一枚、一件の補導につき一枚の補導票を作成します。
補導票に書かれた内容は、あとで各警察署で警察庁のデータベースに登録してゆきます。
ほとんどは各所轄の生活安全課に所属している若手刑事が入力していくことになるのですが、入力内容が多いので慣れた人でも一件登録するのに10分程度はかかります。
一日に20件の補導票があったとしたら、本来の業務に支障が出るレベルです。
補導票の情報は全国の警察署で共有されるので、悪ガキが引っ越した場合でも前科のようについて回ることになります。
実際には補導は”前科”ではないのですが、悪ガキが刑事事件などを起こした際には効果を発揮してくれます。
刑期や情状酌量の有無に響く(と言われている)からです。
何度も補導されているのに反省の色が見られない少年だった場合は刑罰は重くなりますし、情状酌量の余地もなくなります。
反対に、補導された経歴がない子どもが偶発的に犯罪を起こしてしまった場合であれば、根はマジメで良い子どもということになるため、刑罰が軽くなったり情状酌量されたりするということです。
また、補導票は使いようによっては非常に有用な情報を提供してくれることがあります。
ドラマ『魔王』にもあったように、同時補導少年を調べていけば犯罪集団などを芋づる式に割り出すこともできるし、犯罪があった際に人間関係から捜査していく手がかりにもなります。
一番いいのは悪ガキが一人残らず消えていなくなることなんですけどね。