警察官の「守秘義務」と守秘義務の「範囲」について解説します。

警察官の守秘義務と根拠法令、範囲

警察官には守秘義務があり、「職務上知りえた秘密を漏らしてはいけない」と規定されています。

根拠となる法律は地方公務員法の第34条(秘密を守る義務)です。

(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。

読めばわかりますが、

  • 職務上知りえた秘密を漏らしてはいけないこと
  • 職務上知った秘密は退職後も漏らしてはいけないこと

が書かれています。

 

警察官の大部分は各都道府県に採用された地方公務員なので、地方公務員法に従わなければなりません。

そのため、守秘義務が課せられているんですね。

 

ちなみに一部の警視や警察本部長クラスの警察官は国家公務員なので、地公法の守秘義務に従う必要はありません。

以前外務省に努める国家公務員が職務上知りえた秘密を洩らしたとかでスパイの疑いをかけられた事件があったのですが、当時は国家公務員には守秘義務違反を規定した法律がなく、無罪になっていたと思います。

どんな情報でも守秘義務は守る

職務上知りえた秘密(情報)であれば、どんな情報であったも守り抜く必要があります。

 

たとえば警察官が職務質問をして知った一般人の住所や氏名、電話番号を一般の人に教えるのは禁止です。

職質に応じてくれた方は、相手が警察官だから個人情報を教えてくれたのであって、どこの誰かもわからない人に対しては個人情報を教えたりはしないからです。当たり前ですね。

だから職質で知りえた情報を口外するのは守秘義務違反になります。

たまたま職質相手が芸能人で、本名や自宅の住所、プライベートな電話番号を教えてもらったとしても、自宅にファンレターを届けたり事件とは関係ない用件で電話したりするのももちろん禁止です。

守秘義務の効力は退職後も持続するので、警察官を辞めた後、職質時のメモを元に芸能人宅に押し掛けるのも当然禁止。

 

実は警察官が持っている情報程度であれば、外部に漏れても実はそれほど害はありません。

ですが、自衛官など防衛関連の職に就いている人や機密情報を扱う公務員もいるため、地方公務員法は絶対に守る必要があります。

警察官がやりがちな守秘義務違反の例

警察官がやりがちな守秘義務としては、巡回連絡のときにお隣さんに個人情報を教えてしまうことが挙げられます。

 

巡回連絡というのは警察官が警察署管内の各家庭や事業所を1軒1軒訪問し、防犯指導をしたり住民からの要望を聞いて回る活動です。

家の人と話をするので、当然世間話などもよくします。

その際住民が「来年からウチの子が中学校に上がるんですよ~。」と話題を振ってきても、つい先ほど訪問したばかりのお隣さんのことを思い出し「あっ、それじゃあお隣さんと一緒ですね。」みたいな返し方をしてはいけません。

これは守秘義務になります。

 

お隣さんはもしかしたら、自分の子どもが来年から中学生になることを誰にも教えたくないと思っているかもしれません。

また、お隣さん同士の仲が悪く、自分の子どもの年齢や進学先を教え合ったりしていないことも考えられます。

こういった事情があるかもしれないのに、警察官が巡回連絡で職務上知った情報を話してしまうのは、お隣さんにとってはとても迷惑なことです。

だから隣人同士なら知っていてもおかしくないような情報であっても、家族構成や名前などを安易に教えてはなりません。

 

最後に、当サイトは守秘義務違反ではないのか?という当然あなたが抱くでろう疑問について回答しておきます。

当サイトの情報は、雑誌やネットで見つけた情報を元にしています。

現役の警察官が守秘義務違反をしたわけでも、元・警察官が守秘義務違反をしているわけでもありません。ご安心ください。

 

・・・ということにしておいて下さい。