バイクや自家用車など、自動車を運転する際に気を付けなければならないことの1つに”交通違反”が挙げられます。どんなに注意深く運転していたとしても、標識を見逃してしまうことはありますので、避けては通れない問題です。

標識の見落としのように、あとから客観的に交通違反をしてしまったことを確認できるものであれば、素直に違反を認めて切符に署名もできます。しかし一時停止の違反など、停止したつもりなのに警察官から取り締まられ、「停止した」「停止していない」の水掛け論になることも多いです。

運転中に交通違反で捕まってしまったが、違反内容を認めることができない場合にはどのように行動すればよいのでしょうか?

違反事実を認められない・認めたくない場合の対処法についてご紹介します。

三原則:違反を認めない、切符や書類に一切署名・押印をしない、切符も受け取らない

あなたが交通違反をしていないのであれば、警察官に呼び止められた時点で以下の3つの行動をとる必要があります。

違反を認めない

警察官から交通違反をしていると言われたが、違反したことに心当たりがなく違反事実を認めることができない場合には、交通違反をした覚えがないことをはっきりと主張しましょう。

警察官も人間ですので見間違いや勘違いをしてしまうことはあります。とくに複数の警察官が合同で取り締まりをしている場合、違反を見つける係の警察官と、道路上で停止を呼びかける警察官が別々のことがあります。そういった場合は無線で連絡を取り合うのですが、違反車両のナンバーの言い間違い・聞き間違いで無関係の車両を停止させてしまうことがあります。

あなたが違反に心当たりがなく、違反車両とは別の車両の運転手だったとしても、違反を認めてしまえばそのまま手続きは進んでしまいます。違反をしていないのであれば、違反をしていないと主張してください。

署名・押印をしない

交通違反者への対応を行った際、警察官は青切符や白切符を作成して最後に署名・押印を求めてきます。警察官にとっては違反者から署名・押印さえもらえれば仕事は完了です。

たとえあなたが違反を認めていなかったとしても、署名をしてしまえばその時点で実質的には違反を認めたことになります。あとで揉めて裁判になったとしても「違反を認めていないのになぜ署名をしたのですか」と聞かれ、「違反を認めていないのであれば署名をしないはず、署名したということは違反したことを認めるのですね」と見なされます。

なお、警察官が差し出してきた書類が交通違反に関係する書類ではなかったとしても、その場では何も記入しないので賢明です。ただのメモ用紙にしか見えない紙だったとしても、その紙が何に使われるのか不明であり、そもそもその紙がメモ用紙なのかそれとも司法書類など事件・交通違反に関係する書類なのかを判断する方法がないからです。

切符を受け取らない

交通違反していないのであれば、切符を受け取ってはいけません。

よく考えてみてください。違反をしていないのに、なぜ切符を受け取らなくてはならないのでしょうか?

警察官はごく自然に切符を差し出してきますし「今日、この場所であなたに協力してもらった証明になるから」などと理由を付けて、切符を受け取るように促されることもあるでしょう。また、私は違反していないのになぜ受け取らなくてはならいんですか?と受け取りを拒否した際に「なにも持って帰らないのに、どうやって警察官から違反だと呼び止められたことを証明するんですか」と言われるかもしれません。それらはすべて切符を受け取ってもらうための口実にすぎませんので、本当に違反をしていないのであれば、受け取りを拒否しましょう。

なお、このとき一度受け取ってから「やっぱり違反をしていないのだから受け取りたくない」と返却したり、警察官への当てつけとして受け取り後に投げ捨てたりするのは厳禁です。警察からすれば”違反者が切符を受け取ったこと”が重要であり、持ち帰るか捨ててしまうかは重要ではないからです。その場で切符を投げ捨てられたとしても警察官は拾得物として持ち帰るだけですし、風に飛ばされてしまって拾えなかったとしても、あなたが捨てた紙(個人情報が書かれている)がどこかに飛んで行っただけです。警察官の手元には切符の”控え”が残りますので、警察官にとってはなんのダメージにもなりません。

 

交通違反をしていないのであれば、違反を認めず、切符に署名をせず、切符の受け取りも断固拒否しましょう。

もちろん、警察官に協力するために数分間停車してあげることは構いません。違反をしたから停車したわけではなくても、警察官に呼び止められたから停車してあげるのは普通のことです。なにかの事件の聞き込みかもしれませんので、ぜひ協力してあげましょう。

警察官の呼び止めを無視したり、そのまま走行し続けたりするのはダメ

ちなみに、交通違反や事件に心当たりがないからといって、警察官からの停止要求を断って走行し続けるのはご法度です。警察官は事件性や違反を認めたから停止を要求しているのですから、そのまま走り続けると「逃走した」と見なされてしまい、罪証隠滅の恐れありと判断され逮捕されることがあります。

とりあえず停車し、警察官の話を聞いてみて、自分には関係がないと思った場合はサヨナラしても問題ないです。

交通違反を認めなかった場合(否認)、どうなるのか?

違反していない場合の対処法について書いてきましたが、警察ではこのあとも否認事件として手続きが行われます。

この手続きに必要なため、違反場所での実況見分、および供述調書の作成が必要になることがあるので、日付を指定され、後日立ち合いを求められます。たいていは平日の昼間を指定されます。

なぜ平日の日中なのかというと、違反を認めない事例は否認事件として扱うのですが、否認事件に詳しい交通課の警察官は日勤のため平日の日中にしてもらった方が対応しやすいからです。

・・・という建前がありますが、ほとんどの違反者は平日の昼間は仕事が忙しく、実況見分に立ち会えません。その場合は立会人がいないまま警察官が勝手にすべての手続きをやってくれるのですが、これはつまり警察官にとって都合の良い実況見分を実施できることを意味します。警察にとって有利な書類が作成されてしまいますので、できるだけ実況見分には立ち会いましょう。なお、日時指定は両者の合意のもと行われますので、あなたに都合の良い時間であれば休日や平日深夜を指定しても全然問題はありません。

警察官が書類の作成に慣れている場合、実況見分と合わせてその場で供述調書も作成されます。これは違反を認めない運転手の主張(供述)を記録に残しておくためのものです。嘘偽りのない事実を供述し、調書の内容をよく確認してから最後に署名・押印しましょう。ここでの署名・押印は問題ありません。

違反が覆る可能性は0.1%にも満たない

ここまで読んでもらっておいて申し訳ないのですが、違反を認めず、切符への署名・押印を拒否し、切符の受け取りも拒否し、実況見分への立ち合いや供述調書の作成をしたとしても交通違反が”なかったこと”になることはほとんどありません。警察官が現場で違反を目撃したことを現認(げんにん)というのですが、現認された時点で違反はほとんど確定しています。

係争が長引いて裁判まで持ち込んだとしても、交通違反に関しては判決が覆ることはまずありえません。

どれだけ時間をかけたとしても結果は変わりませんので、どうしても警察官に迷惑をかけたい場合以外は潔くあきらめましょう。警察官を必要以上に働かせることは税金の無駄遣いとも言えますので、納税者の立場としては潔く諦めるのがよいと考えます。

交通ルールは守りましょう

交通違反はたいていの場合、取り締まられるべくして取り締まられています。普段は全く違反をしない運転者が偶然交通違反をしてしまい、その場に偶然警察官がいたということはありません。普段から違反をしていた方や、交通ルールを正しく理解しておらず、勝手な自己判断で違反ではないと思い込みルールを破っていた方が捕まるパターンばかりです。

いま一度、運転免許を取得したばかりの頃を思い出し、交通ルールはちゃんと守るようにしましょう。交通関係の法律は毎年のように一部改正がされているので、最新の情報もたまには確認していきたいですね。

なかには「このくらいならいいだろう」「誰も見ていないから」という理由で意図的に交通違反を繰り返す方もいますが、こういった方は警察官に取り締まられたとしても自業自得といえます。こういう方がニュースになるような大事故を起こし、第三者の人生まで狂わせたりしているので、こういう無法者にはならないように気を付けてください。

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