このところ逮捕中の被疑者が護送中に逃走する事案が(主に検察の管轄内で)相次いで発生しています。

警察では護送中の逃走事故防止マニュアルがありますので、護送の基本ルールをご紹介します。

護送時の基本ルール「さちこのて」で逃走防止

護送時のマニュアルとしては「さちこの手」を遵守するよう求められています。

さちこの手とは、

  1. さ サンドイッチ体制
  2. ち チャイルドロック
  3. こ 腰縄
  4. の ノー!と言える勇気
  5. て 手錠

のことで、この5つのルールを守らずに被疑者・容疑者の護送をしようとすると逃走される恐れが高まります。

サンドイッチ体制

サンドイッチ体制とは、車両での護送時に被疑者・容疑者の両サイドに警察官が座り、被疑者のことをサンドイッチのように挟んだ状態で護送することです。

護送は拘留中の被疑者の身柄をマイクロバスで一斉に検察へ移送する際を除き、ほとんどの場合はセダンやミニバンサイズの車両で行います。逮捕状を持って被疑者の家に行き身柄を確保するときや、体調の悪くなった被疑者を留置施設から病院へ通わせるとき、実況見分のために被疑者を事件現場へ立ち会わせるときなどは、被疑者の数が1人しかいないためサンドイッチ体制が基本となります。

チャイルドロック

護送中の被疑者が車内で暴れても逃走されにくくするため、護送車両は後部ドアをチャイルドロックするように指導されています。

チャイルドロックすることで外からしかドアを開けられなくなるため、被疑者の座る後部座席のドアは助手席に乗っていた警察官が外から開けることになります。

サンドイッチ体制のために後部座席に2名、さらに運転手、助手席に1名ずつとなり、最低でも4人の警察官が護送には必要となります。

腰縄

被疑者の護送、移送時には腰縄を付けます。

ワイヤー入りのロープを被疑者の腰に結びつけ、ロープの反対側は警察官のベルトに付けたカラビナに引っ掛け、余ったロープは警察官が把持します。

こうすることで被疑者が逃走するために突然走り出したとしても、ロープの長さ以上の距離には逃げづらくなります。

ノー!と言える勇気

護送中の被疑者はあの手この手で逃げようとしますし、少しでも逃走しやすくするために「手錠が手首にぶつかって痛い!もっと緩めろ!」などの文句を言ってきます。そういった理不尽な要求をされた時にも、毅然とした態度で「ダメだ!」と言わなければなりません。

「No!(ノー!)」と言える勇気が必要です。

手錠

護送時の基本中の基本、手錠です。

手錠は手首の部分に隙間ができないよう、しっかりとかけます。

拘留中の被疑者を護送する際は手錠をかけたあと、手錠にロープを結び付け、さらにそのロープを被疑者の腰に巻き付けて腰縄とします。

護送は基本に忠実に!

以上の5つの基本ルール「さちこのて」を守ることで、護送中の被疑者の逃走を防止できます。

最近の相次ぐ逃走事案は基本ルールを守っていないと考えられる事例もあり、どんなに面倒くさくても基本を破ると後始末が大変になるのだな…と感じました。

またチャイルドロックの項目でも書きましたが、被疑者1名を護送するとき(単独護送)には最低でも4名の監視人員が必要です。人員を確保できない際は護送を取りやめるなど、基本に忠実に、かつ柔軟な対応が求められます。

ひとたび逃走事案が発生してしまうと社会不安を招くことになりますし、警察・検察は悪人たちからナメられることにもなります。治安の悪化につながる重大事案ですので、基本に忠実に、安全かつ確実な護送をしてほしいですね!