「ため息が出るほどの男社会」という目を引くキャッチフレーズが一時期話題になったことがあります。

警察がいかに男性優位な組織であるか、そして女性警察官の立場が弱いのか、といったことを批判するものです。

「ため息が出るほどの男社会」神奈川県警に公安委員が異例の「苦言」

神奈川県警察本部で開かれた警察署長会議の場で、女性の公安委員が発言した内容が切り取られたものですが、今回はこの発言がいかに的外れなものなのかについて解説いたします。

警察官は体力が必要な仕事

職業によって、労働者に求められる能力や適正は異なります。

警察の場合、最も求められるものは力(体力)です。どんなに頭が良くても、体力がなければ警察官を続けることはできません。また、どれだけ気が利いたとしても、警察官の仕事にはプラスになりません(飲み会では役立つかもしれません)。体力こそ正義。

そして統計的に、女性よりも男性の方が 体力や身体能力が高いことが明らかになっています。そのため、体力が要求される職業においては女性よりも男性を採用する必要があります。

体力的に優位な男性の犯罪者が走って逃げている場面に遭遇したと仮定して、体力的に劣っている女性警察官が走って追い付くことができるのでしょうか?

もちろん、女性警察官にも足の速い方はいます。男性警察官でも足の遅い者はいます。逃走する犯罪者の走力にもバラつきはあるでしょう。しかし、統計的には男性の方が女性よりも速く走れることは明白です。

犯人を確保できる可能性が高いのはどちらですか?

市民を守れるのはどちらの性別の警察官なのでしょうか?

女性警察官は使い勝手が悪い

犯人の追跡以外にも、警察官が体力を要求される場面は多いです。

彼に女性警察官を採用したとしても、受傷事故を防ぐために女性警察官は傷害事件など荒れた現場に向かわせることができなかったり、交番勤務などにおいても、拳銃を奪われる危険性を考慮して女性警察官には拳銃を持たせられなかったりします(各警察署長の判断による)。

男性警察官であれば、(好ましくはありませんが)荒れた現場に一人で向かわせることができます。また、交番での一人での深夜の当直勤務を任せることもできます。

しかし、女性警察官にはとても任せることができません。女性警察官が暴れている人を取り押さえようとしてケガを負ってしまった場合は上司の責任になってしまいますし、なにより、ケガをさせてしまった人は暴行や傷害などで逮捕されるリスクが高まります。男性警察官が対応していればこのような受傷事故を防ぐことができ、なおかつ、不必要に逮捕される市民の数を減らすこともできます。

簡単に言ってしまえば「女性警察官は使い勝手が悪い」という実情があるんです。

女性警察官が増えると予算が必要になる(税金が上がる可能性)

他にも女性警察官を増やしにくい理由があります。

冒頭で紹介した記事では、トイレや更衣室といった施設の整備についても触れられていました。

平成の中期以降に建てられた警察署・交番では女性警察官でも働きやすい環境が整っている傾向にありますが、昭和に建てられた現役の交番の一部には、トイレのカギが壊れていたり和式便器がいまだに使われているような古いものも残っています。

こういった古い交番は「どうせ男性警察官しか使わないのだから、そのままでも問題ないだろう」という理由で利用され続けている現状があります。

もしも「女性警察官でも働きやすいように」という理由で建て替えや改修を進めることになった場合、そのための予算が必要になります。予算とは、すなわち税金です。

現場であまり役に立たない女性警察官を増やすために、特別に予算を割く必要性があるのか?税金を増やしたり他に必要だった予算を削ったりするくらいなら、これまでどおり「男性警察官しか使わないから」という理由で、ボロくて汚い施設を使わせ続けた方がマシなのではないでしょうか?

女性警察官が必要なのは事実だが、少人数だけで十分

とはいえ、女性警察官が全くいないというのも困ります。

女性が被害者の性犯罪が発生した場合には、女性警察官が事情聴取した方が被害者も話がしやすいでしょうし、女性被疑者の身体検査(所持品検査)をする際にも女性警察官が必要になるからです。

女性警察官が必要な場面は残念ながらほとんどありません。この事実が結果的に女性警察官の人数の少なさや、女性幹部の人数にも反映されています。

体力が要求される職業が男社会になるのは当たり前

警察に限らず、自衛隊や消防など、体力が要求される職業が男社会になるのは当たり前のことです。男性の人数が確保できなければ仕事が成り立たなくなります。

結果的に男性の割合が増え、幹部(役職者)に占める男性の割合が増えたり、施設の整備に関しても女性向けの整備が遅れてしまうのは当然のことです。

おそらく「ため息が出るほどの男社会」というワードが注目されたのは、世界的にジェンダーギャップが注目を集めているからだと思います。しかし少なくとも、警察のように体力が要求される職業に関していえば、女性の数が少なくても何も問題はありません。

この手の話題が出た際には、一度考えてみてください。

その仕事、ほんとうに女性にやってもらいたいですか?

警察官が絶対に言わない警察の裏事情