年に一度か二度は目にする「警察官の拳銃自殺」のニュース。

いろいろ悩みがあって自ら命を絶ってしまうのは悲しいことなのですが、警察官がけん銃を使って自殺を図った場合、ほかの手段を使って自殺した場合とは異なる手続きがされます。

正当な業務以外の目的でけん銃を使用したことにより、けん銃自殺した警察官は死後に銃刀法違反で送検されるのです。

警察官は職務上、特別にけん銃の所持が許可されている

当たり前の話ですが、日本ではけん銃を携帯できるのは、ごく限られた一部の人だけです。警察官、自衛官、麻薬取締官など…の場合は、業務上、必要な場合に限りけん銃の携帯や使用が許可されています。

銃砲刀剣類所持等取締法第3条

(所持の禁止)
第3条
何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
一 法令に基づき職務のため所持する場合

銃砲刀剣類所持等取締法によれば、「何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。」と定められています。つまり、日本では業務や事情に関わらず、全員が銃砲又は刀剣類を所持することが禁止されています。そして例外規定として「次の各号のいずれかに該当する場合を除いては」という一文と、「一 法令に基づき職務のため所持する場合」という項目が記載されています。

警察官はこの「一 法令に基づき職務のため所持する場合」に該当するため、日本では所持が禁止されているにもかかわらず特別にけん銃の所持が認められています。

 

そしてさらに、警察法 第67条第1項(小型武器の所持)警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。とあり、それ以外にも、

警察官職務執行法第7条では、警察官がけん銃などの小型武器を使用できる条件として、「犯人の逮捕もしくは逃走の防止、自己もしくは他人に対する防護または公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合」と定めています。

けん銃の目的外使用は犯罪です

このように、警察官は職務上の理由により特別にけん銃の所持や使用が許可されており、使用にあたっては厳しい制限があります。いくら警察官であっても、要件を満たしていない場合にけん銃を使用したり所持したりした場合には、法律に従って厳しく罰せられることになります。

ところで、警察官がけん銃を使って自殺を図った場合、法的に問題はないのでしょうか?

 

もうお分かりのとおり、けん銃を使って自殺を図る行為は警察官職務執行法第7条に定める「犯人の逮捕もしくは逃走の防止、自己もしくは他人に対する防護または公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合」には該当しないため、不適切なけん銃の使用をしたことになります。

また、けん銃の使用だけではなく所持していたことに関しても問題があったのは明白であり、警察法67条や銃刀法3条にも違反することになります。

このような事情により、警察官がけん銃を使って自殺を図った場合、自殺が成功した場合には「被疑者死亡で送検」となりますし、未遂に終わった場合でも犯罪者として扱われることになったり懲戒処分の対象になったりします。

死してなお犯罪者として扱われたり、運よく生還したとしても犯罪者として取り調べを受けたりすることになりますので、手元にけん銃があったとしても警察官がけん銃自殺をするのはおすすめできません。うまく頭のド真ん中にヒットしたとしても、しばらくは死ねずに地獄の苦しみを味わうらしいと聞いたこともありますので、いずれにせよ、目的外でのけん銃の使用は御法度です。

死にたくなるほど悩んでいる警察官は、私のようにスパッと辞めちゃうのが無難です。無職、最高っすよ。

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