あまり知られていませんが、警察官は

  • 司法警察
  • 行政警察

の2つの仕事をしており、事件や事故、業務の内容によって2つの顔を使い分けています。

今回は警察官が持つこの「2つの顔」と、それぞれの業務内容、違いについてご説明します。

司法警察

刑事訴訟法など司法に関する仕事をするとき、警察官は司法警察としての顔を持ちます。

たとえば

  • 被害届の作成
  • 実況見分調書の作成
  • 証拠品の取り扱いと書類作成
  • 逮捕状の請求
  • 各種捜査活動
  • 交通取り締まりでの青切符・赤切符の交付

をする際です。

これらの活動はすべて「裁判(司法)」を前提とした活動なので、司法警察とか司法警察官と呼ばれるんですね。

司法警察の仕事をする際は、書類の作成や手続きはすべて司法手続きに則って行われます。

たとえば被害届などの書類が2枚以上に渡って作成された際は、その2枚が同じ1つの書類であることを証明するめに、書類作成者の印鑑を使って”割り印”を押します。

また、作成者の署名押印では、署名した文字に押印の一部が被さるように押印するなど、独特のルールに従いながら書類を作成します。

 

他にも、階級によって

  • 司法警察員(基本的には巡査部長以上の階級の人)
  • 司法巡査(基本的には巡査の階級にある人)

などの階級を使ったりします。

司法警察員が書類を書く際は

  • 司法警察員 警部補 〇〇〇〇(氏名)
  • 司法警察員 巡査部長

などと記載します。

司法巡査の場合は

  • 司法巡査 氏名

です。

行政警察

行政警察とは、公務員としての仕事をする際の顔です。

警察官は逮捕や捜査など司法手続きに従った仕事をする以外に、公務員としても働かなくてはなりません。

たとえば、

  • 遺失・拾得届の受理
  • 交通事故(物件事故)の報告書作成
  • DVやストーカーの相談
  • 車庫証明の受理

などをするときです。

これらの業務は司法手続きとは関係なく、公務員だからやっている仕事にすぎません。別に警察官がやらなくても良い仕事です。

実際、遺失・拾得物の届け出受理や返還、DVの相談などは警察手帳を持っていない「警察職員」や「元警察官」などもやっていますし、DVの相談などは弁護士や近所のおばちゃんでもやっています。

つまり行政警察とは「他に適任者がいないので警察官がやっている仕事」とも言えますね。

 

そうはいっても拾得物の中から麻薬や窃盗事件の被害品が見つかることもありますし、交通事故の現場に行ったら事故を起こしたのが盗難車だったということもありえます。そういう実態を考えると、現状では公務員の中でも警察官がやらざるをえないのかな?とも感じます。

 

行政警察の業務に伴う書類の作成は”司法”巡査などとは書かず、単純に「巡査」や「巡査長」「警部補」などで記載して大丈夫です。

 

以上のように警察官は

  • 司法警察
  • 行政警察

の2つの顔を持っています。

事件や事故などで警察官と関わる機会があれば、どちらの仕事をしているのか聞いてみると良いでしょう。

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