警察の『青いバス』はドラマや映画では犯人を護送するための”護送車”として描かれることがあります。しかし実際は警察官を運ぶために使う”人員輸送用の車”で、犯罪者を輸送するために使うことはありません。警察署や機動隊の建物から一度にたくさんの警察官を運ぶために使う車です。

上のツイッターの動画の場合だと、岸田総理が調布駅に来るということでしたので、警備のために機動隊員が輸送されたものだと考えられます。

私も10年ほど前、当時の安倍総理が応援演説のためにとある駅に来た際、警備に従事しました。

そのときも数台の大バス(青いバス)で100名近い警察官が警備に従事し、周辺の交通規制とともに不審者の早期発見や警備活動を行いました。

警察官が活動するわけですから犯罪者の検挙を一切行わないとは限りませんが、機動隊は警備活動に関係しないことにはほとんど関りません。そのため犯罪者の”大量検挙”といったことはまず起こりえません。

警察の青いバスは要人警護・右翼対策によく使われる

警察の青いバスですが、1台あたり十数人の警察官を輸送することができます。

実際の定員はもっと多いのですが、警察官以外にもカラーコーンや交通規制用の車止め、機動隊員が身に付けるプロテクター類、暴動発生時に防御用として使う『盾』などの装備品も一緒に運ぶことになり座席が埋まってしまうので、定員の半分くらいの人員しか乗せることができません。バス5台以上で100名程度運べるので、周辺一帯を警備するには十分な数の警察官を移動させられたでしょう。

通常、機動隊が大規模に出動する場合だと、所轄の交通課や警備課の警察官も現場に赴きます。

青いバス以外に映っていた車のうち、

  • 黒と白のハイエース(災検車)は交通課
  • 青いバスの最後尾に止まっている乗用車は警備課、もしくは刑事課(知能犯係)

のものでしょう。

機動隊員は信号機を操作するためのカギ(信号操作盤のカギ)を持っていないため、周辺の交通規制をする際、所轄の交通課員と協力する必要があります。また、地元の要注意人物や活動家らが現場に来ている可能性があるため、そういったアブナイ人物のことを良く知っている所轄の警備課員も現場を訪れます。さらには選挙が絡む集まりやイベントだと、公職選挙法に詳しい刑事課・知能犯係の刑事さんも現場に来ることがあります。

警察はよほどのことがない限り、こういった警備の現場で検挙活動を行うことはありません。選挙活動で人がたくさん集まっている場所で検挙してしまうと、それだけでニュースになって投票結果に影響を与えてしまったり、政治活動の妨害行動とみなされる危険があるからです。政治的に中立で、不偏不党公平中立の立場を貫く警察組織としては、政治にかかわってしまうことはタブーなのです。

そのためこのような警備の現場では、犯罪を未然に防ぐことに全力を尽くします。制服の上にジャンパーを着て群衆の中に紛れ込んだり、会場周辺を歩いて不審者の発見に努めたりするのは犯罪の発生を防ぐのが目的です。

政府の要人を警備する場合の他、右翼対策やデモの警備でも青いバスは活躍します。たくさんの警察官を一度に運ぶ機会はそれほど多くありませんが街中でもときどき見かけることがあるので、見かけた際には”犯罪者をたくさん乗せている護送車”ではなく、「なんらかの警備活動を行っているのだな」と理解していただければと思います。青いバスが出動すると車線を1つ塞いでしまうので運転手からすれば邪魔以外のなにものでもないのですが、警備上必要なことだとご理解くださいませ。

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